読書録:ロッシェル・カップ「日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?」
きっかけ
この本というかロッシェル・カップさんを知ったのは、Twitterでマイクロソフト牛尾さんをフォローしていて、牛尾さんが色んな所でロッシェルさんと発表されたのを見たのがきっかけだった。
いちおう中小企業診断士という資格を持っていて(さいきん休業したけど)、経営・組織・マネジメントなどにも興味がある分野なので、この本を読んでみることにした。新しいビジネス書を読むのは久しぶりだった。
最初はKindleの試し読みで第1章だけ読んだのだが、とても良かったので図書館で借りることにした。
読んでいて辛い
これが率直な感想。なぜ辛いのかというと、これまでの9年間の社会人生活の中でずっと思ってきたことが網羅されていて、共感できることがあまりに多すぎたからだ。どこがどう共感できたかは、差し障りがありそうなのでここには書かない。
年功序列は若年層にも中高年にもモチベーションの低下を招く
あまり給与のことは多くは書かれていないので、ここは自分が思ったこと。
年功序列だと、若年層はどれだけ頑張っても給料が上がらないから、モチベーションが低下する。
しかし実は、年功序列は中高年の方のためにも、良くないのではないか。完全に想像だけど。年功序列っていうけど、どこかの年齢(たぶん40代くらい)で昇給は頭打ちになるから。
年齢にかかわらず、頑張り具合で給料が大幅で上下したほうが、モチベーションがキープできるんじゃないかな。
企業のマネジメントだけの問題ではない
最後の第8章のみ、企業向けのメッセージではなく、社員向けのメッセージになっている。
この本では、主に日本企業のマネジメントに対する提言が書かれているが、われわれ社員側の意識も大切だと思う。
マネジメント層だって人間だ。完璧ではない。社員も多様だし、全員が満足して働ける会社なんてなかなか作れない。
会社への不平不満をただ並べるばかりでは、何も改善しない。会社のためにも自分のためにもならない。そんな暇があったら、いま自分ができることを精一杯やることが大事なんじゃないか。
自分で自分の目標を立て、自分のスキルや経験を磨く術を考える。業後の勉強でもいいし、業務でも興味がある仕事に積極的に手を挙げる。
勉強会に出てみたり、ブログ書いてみたり、勉強会に登壇してみたり、そこで色んな人と交流してみたり。ITってこれがやりやすいからいい。
これって、自分自身のためにもなるし、自分のスキルが上がれば、それが結果的に会社のためにもなるんじゃないかな。少なくとも、この30半ばのおっさんはそう思って日々仕事してます。
この第8章からは、とても勇気をもらった。
まとめ
久々に、いいビジネス書を読んだ。ビジネス書から勇気をもらったのは、ドラッカー以外でははじめてだ。
働く人、マネジメントの人、すべての人におすすめしたい。
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Payaraのバグを報告してみよう
この記事は?
Payara Advent Calendar 2016の22日目です。
Payaraは、GitHub上でオープンソースで開発されています。Payara開発チームは、誰でもGitHubのIssueに書き込んでバグ報告してくれてOK、というスタンスをとっています。
僕は過去2回*1バグを報告し、修正してもらうことができました。
Payara does NOT rollback when RuntimeException occurs in CDI @Transactional method using JDBC · Issue #505 · payara/Payara · GitHub *2 *3
今回は、修正してもらいやすいIssueの書き方について、僕が自分なりに気をつけていることをご紹介します。
Payaraの今使用しているバージョン・最新バージョン・過去のバージョンで比較する
今お使いのPayaraは最新バージョンでしょうか?もしそうでなければ、まずはPayaraの最新バージョンで動かしてみましょう。
Payaraは四半期に1回リリースされており、積極的にバグ修正や機能追加が行われているため、もしかしたらバグが修正されているかもしれません。
もし、最新バージョンで動けばそれでいい*4のですが、もし最新バージョンにしても問題が解決しなかったり、そもそも今お使いのものが既に最新バージョンであれば、1つ前など過去のバージョンのPayaraで試してみましょう。
過去のバージョンで期待通りに動作すれば、最新バージョン特有のバグの可能性があります。もし、過去のバージョンでも動作しなければ、以前から潜在していたバグの可能性があります。
余談ですが、Payara公式サイトからのダウンロードは、時とネットワーク環境にもよるのですが、めっちゃ遅いことが多いです(--;
僕は、過去にダウンロードしたPayaraのZIPファイルは、なるべく保存しています。
バグが再現する最小限のサンプルアプリを作り、GitHubにアップする
Payara開発チームは主にイギリスの方々なので、言語は英語です。英語でIssueを書くのは結構大変です。僕もまだまだ素早く正確に書くことができません(^^;
しかし、我々の共通言語であるJava言語であれば、英語圏の方を相手にしても、意図は明確に伝えられるはずです。
なので、バグが再現するサンプルアプリを作りましょう。さらにそれをGitHubにアップすれば、すぐにPayara開発チームに確認してもらうことができます。
このサンプルアプリは、Payara開発チームにバグを伝えることが目的なので、不要な機能は作らず、本当にバグが再現するだけの最小限のアプリにしましょう。
また、この最小限サンプルを作っていくことで、自分の中でも「どこがバグっぽいんだろう?」ということが明確になり、よりIssueを書きやすくなります。
設定はスクリプト化して、サンプルアプリと一緒にGitHubにアップする
GlassFish/Payaraの設定は、asadmin
コマンドまたはブラウザで開ける管理コンソールで行います。
管理コンソールはGUIで設定できるので非常に便利な反面、同じ設定手順を再現するのに時間がかかったり、打ち間違いなどで設定をミスする可能性があります。
よって、単純な設定ミスだったのか、設定は合っていて本当にバグだったのかが、自分にもPayara開発チームにも分かりづらくなってしまいます。
なので、設定はできる限りasadmin
コマンドで行い、それを1つのシェルスクリプトにまとめましょう。それを最小限サンプルと一緒のプロジェクトにまとめてGitHubにアップしてしまえば*5、Payara開発チームにも使ってもらえます。
また、スクリプト化することで、Payaraの複数バージョンでの確認もやりやすくなります。PayaraのZIPを展開して、スクリプトを実行するだけで設定が完了しますので、時間もかからないし、設定をミスする心配が少なくなります。
asadmin
コマンドについては、蓮沼さんのブログやうらがみさんのブログを確認しましょう!
発生する現象とその再現手順を明確にIssueに書く
さて、ここまで準備が完了すれば、あとは頑張ってIssueを書くだけです。
どうしてもここは英語がついて回りますが、「どんな現象が発生するのか?」「最小限アプリを使って、どのような手順でその現象を再現できるか?」の2点を外さなければ大丈夫です。
これをコードやスクリーンショットを交えて書けば、英語の文章も少なく済みます。もちろん、GitHubにアップしたサンプルアプルのURLも忘れずに、Issueの最初の方で書いておきましょう。
また、最近はIssueのテンプレートが作成されて、使っているPayara・OS・JDKのバージョンを書く欄がありますので、これも埋めてください。
Payaraに貢献しよう!
Payaraを利用している方、もし何かバグっぽいものに遭遇したら、ぜひIssueを書いてみてください。
それにより、PayaraそしてGlassFishがより良いものとなっていきます。そしてそれは、Java EE全体への貢献にもつながるはずです。
それでは、Enjoy Payara & Java EE!!
ThymeleafでApache Shiroを使うためのライブラリを作ってみた
この記事は?
Java EE Advent Calendar 2016の19日目です。
昨日の記事は@khasunumaさんの「MicroProfile によるアプリケーション開発」でした。明日は@emaggameさんです。
今回は、以前@n_agetsuさんが紹介されていたApache Shiroというセキュリティフレームワークを、Thymeleafで使ってみました。
Apache Shiro を使ってみました - 見習いプログラミング日記
上妻さんのGitHubのサンプルをforkして、ビューをJSPからThymeleafに書き換えました。
合わせて、ThymeleafでApache Shiroを使うためのライブラリを作ってみました。
- ThymeleafのApache Shiro用Dialect
GitHub - MasatoshiTada/thymeleaf-extras-shiro
- 上妻さんのサンプルをThymeleafに移植したもの
GitHub - MasatoshiTada/ShiroSample: Apache Shiro 1.2 JDBC Realm sample
Dialectとは
上妻さんのブログでも紹介されている通り、Apache ShiroにはJSPカスタムタグが用意されています(タグの一覧はこちら)。
今回は、これらのJSPカスタムタグと似たようなものを、Thymeleafで作成しました。
Thymeleafといえば、タグの中にth:
で始まる属性を記述していくのが特徴です。これらの属性は、自作することも可能です。
作成できるものは、属性の他、タグやユーティリティオブジェクト*1などです。
Thymeleafでは、これらを1つにまとめて「Dialect」と呼ばれます。
Dialectを自作する方法は、Thymeleaf公式Webサイトに公開されています。
条件によって表示/非表示を切り替える属性を作る
Apache ShiroのJSPカスタムタグは、認証済み/認証済みでない等の条件によって、タグで挟んだ部分を表示する/しないを切り替えるものがほとんどです。
- JSPの場合
<%-- このタグで挟まれた部分はログイン中のみ表示される --%> <shiro:authenticated> <h3>Hello, <shiro:principal/></h3> <form action="/ShiroSample/users/logout" method="post"> <div class="form-group"> <button type="submit" id="logout-button" class="btn btn-primary">logout</button> </div> </form> </shiro:authenticated>
この<shiro:authenticated>
タグを、Thymeleafの属性で下記のように作り変えてみました。(<shiro:principal>
タグについては後述します)
- Thymeleafの場合
<!--/* この属性で挟まれた部分はログイン中のみ表示される */--> <div shiro:authenticated> <h3>Hello, <span shiro:principal>foo@sample.com</span></h3> <form th:action="@{/users/logout}" action="./index.html" method="post"> <div class="form-group"> <button type="submit" id="logout-button" class="btn btn-primary">logout</button> </div> </form> </div>
shiro:authenticated
属性は、今回僕が作成したものです。機能はJSPカスタムタグと同じです。
条件によって表示する/しないを切り替える属性は、ThymeleafのAbstractStandardConditionalVisibilityTagProcessor
クラスを継承すれば、簡単に作成できます。
このクラスにisVisible()
という抽象メソッドが用意されているので、これをオーバーライドするだけです。
- 全属性の親クラス
public abstract class AbstractSecureAttributeProcessor extends AbstractStandardConditionalVisibilityTagProcessor { public static final int ATTR_PRECEDENCE = 300; public AbstractSecureAttributeProcessor(String dialectPrefix, String attrName) { super(TemplateMode.HTML, dialectPrefix, attrName, ATTR_PRECEDENCE); } protected final Subject getSubject() { return SecurityUtils.getSubject(); } protected abstract boolean isVisible(ITemplateContext context, IProcessableElementTag tag, AttributeName attributeName, String attributeValue); }
- 認証済みの時のみ表示する属性
public class AuthenticatedAttributeProcessor extends AbstractSecureAttributeProcessor { /** HTMLで指定する属性名 */ private static final String ATTR_NAME = "authenticated"; public AuthenticatedAttributeProcessor(String dialectPrefix) { super(dialectPrefix, ATTR_NAME); } /** * 認証済みであればtrue */ @Override protected boolean isVisible(ITemplateContext context, IProcessableElementTag tag, AttributeName attributeName, String attributeValue) { return getSubject() != null && getSubject().isAuthenticated(); } }
親クラスを作っているのは、ShiroのJSPカスタムタグのソースコードを参考にしました。
AbstractStandardConditionalVisibilityTagProcessor
クラスは、前述のドキュメントには書かれていないのですが、Spring Security用のThymeleaf拡張のソースコードを読んで知りました。
他にも、ロールの有無やパーミッションの有無で表示/非表示を切り替える属性を作ったのですが、すべて同じ作り方です。詳細はGitHubをご覧ください。
値を表示する属性を作る
さて、ShiroのJSPカスタムタグの中で、1つだけ役割が違うのが<shiro:principal>
タグです。これは、ログイン中のユーザー名を表示するタグです。
- JSPの場合
<h3>Hello, <shiro:principal/></h3>
- Thymeleafの場合
<h3>Hello, <span shiro:principal>foo@sample.com</span></h3>
値を表示する属性は、 ThymeleafのAbstractAttributeTagProcessor
クラスを継承し、doProcess()
メソッドをオーバーライドして作成します。
public class PrincipalAttributeProcessor extends AbstractAttributeTagProcessor { private static final String ATTR_NAME = "principal"; public PrincipalAttributeProcessor(String dialectPrefix) { super(TemplateMode.HTML, dialectPrefix, null, false, ATTR_NAME, true, 1000, true); } /** * 認証済みであればtrue */ protected boolean isAuthenticated() { return getSubject() != null && getSubject().isAuthenticated(); } @Override protected void doProcess(ITemplateContext context, IProcessableElementTag tag, AttributeName attributeName, String attributeValue, IElementTagStructureHandler structureHandler) { String name = isAuthenticated() ? getSubject().getPrincipal().toString() // ログイン済みならばユーザー名 : "GUEST!!!"; // ログイン済みでなければ"GUEST!!!"を代替のユーザー名とする // 値を出力する structureHandler.setBody(HtmlEscape.escapeHtml5(name), false); } }
ちょっと長いですが、値を出力しているのは、最後の行のstructureHandler.setBody()
です。
作った属性をまとめて、1つのDialectを定義する
public class ShiroDialect extends AbstractProcessorDialect { private static final String DIALECT_NAME = "Shiro Dialect"; public ShiroDialect() { super(DIALECT_NAME, "shiro", StandardDialect.PROCESSOR_PRECEDENCE); } @Override public Set<IProcessor> getProcessors(String dialectPrefix) { final Set<IProcessor> processors = new HashSet<>(); processors.add(new GuestAttributeProcessor(dialectPrefix)); processors.add(new NotAuthenticatedAttributeProcessor(dialectPrefix)); processors.add(new UserAttributeProcessor(dialectPrefix)); processors.add(new AuthenticatedAttributeProcessor(dialectPrefix)); processors.add(new HasRoleAttributeProcessor(dialectPrefix)); processors.add(new LacksRoleAttributeProcessor(dialectPrefix)); processors.add(new PrincipalAttributeProcessor(dialectPrefix)); processors.add(new HasAnyRoleAttributeProcessor(dialectPrefix)); processors.add(new HasPermissionAttributeProcessor(dialectPrefix)); processors.add(new LacksPermissionAttributeProcessor(dialectPrefix)); return processors; } }
AbstractProcessorDialect
クラスを継承して、getProcessors()
メソッドをオーバーライドします。
このメソッドの中で、作成した属性を表すクラスをインスタンス化して、すべてSet
に格納して返します。
IntelliJやEclipseで属性の補完ができるようにする
この作業は必須ではないのですが、やっておくと便利です。
src/main/resources配下*2に、下記のようなXMLを作成します。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <dialect xmlns="http://www.thymeleaf.org/extras/dialect" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xsi:schemaLocation="http://www.thymeleaf.org/extras/dialect http://www.thymeleaf.org/xsd/thymeleaf-extras-dialect-2.1.xsd" prefix="shiro" namespace-uri="http://suke_masa.com/thymeleaf/shiro" namespace-strict="false" class="com.suke_masa.thymeleaf.extras.shiro.dialect.ShiroDialect"> <attribute-processor name="authentication" class="com.suke_masa.thymeleaf.extras.shiro.dialect.processor.AuthenticatedAttributeProcessor"> <documentation reference="authentication attribute"/> </attribute-processor> <attribute-processor name="principal" class="com.suke_masa.thymeleaf.extras.shiro.dialect.processor.PrincipalAttributeProcessor"> <documentation reference="principal attribute"/> </attribute-processor> <!-- 一部省略 --> </dialect>
これを作っておくと、このDialectを利用するときに、IntelliJやEclipse(Thymeleafプラグイン必須)で属性の補完が効くようになります。
作成したDialectを使う
TemplateEngine
クラスのaddDialect()
メソッドで、作成したDialectを追加します。
@Provider public class ThymeleafTemplateProcessor extends AbstractTemplateProcessor<String> { @Context private HttpServletRequest httpServletRequest; @Context private HttpServletResponse httpServletResponse; private TemplateEngine templateEngine; @Inject public ThymeleafTemplateProcessor(Configuration config, ServletContext servletContext) { super(config, servletContext, "html", "html"); ServletContextTemplateResolver templateResolver = new ServletContextTemplateResolver(servletContext); templateResolver.setPrefix((String) config.getProperty(MvcFeature.TEMPLATE_BASE_PATH)); templateResolver.setTemplateMode(TemplateMode.HTML); templateEngine = new TemplateEngine(); // 作成したDialectを追加する templateEngine.addDialect(new ShiroDialect()); templateEngine.setTemplateResolver(templateResolver); } // 以下省略
まとめ
AbstractStandardConditionalVisibilityTagProcessor
を継承して、条件で表示/非表示を切り替える属性を作るAbstractAttributeTagProcessor
を継承して、値を出力する属性を作るAbstractProcessorDialect
を継承してDialectを作成し、作った属性を1つにまとめる- XMLを作成して、IDEで補完が効くようにする
TemplateEngine
クラスのaddDialect()
メソッドで、作成したDialectを追加する
参考資料
必要最小限のサンプルでThymeleafを完全マスター
この記事は?
Java EE Advent Calendar 2016 - Qiitaの12日目です。
昨日の記事は@yyYankさんの「どうすんのJava EE - Javaプログラマのはしくれダイアリー」でした。明日は@n_agetsuさんです。
Thymeleafは、Javaで作られたテンプレートエンジンです。JSPの代替技術として近年注目されていて、JJUG CCCなどで話を聞いていても、利用事例が増えているように感じます。
ブログ情報も多く、検索すると「チートシート」のようなブログがいっぱい出てきます。
ただ、Thymeleafは多機能なのでチートシートもボリュームがあり、Thymeleafを初めて学習する人にはちょっと重たいなあ・・・と感じていました。
そこで今回は、JSPから移行したい方が、まず最初に理解すべき必要最低限の項目をまとめました。
アジェンダ
- 環境準備
- 4つの記法
- リンク式(
@{...}
) - メッセージ式(
#{...}
) - 変数式(
${...}
) - 選択変数式(
*{...}
)
- リンク式(
- テンプレートの記述
- 条件分岐(
th:if
、th:unless
) - 繰り返し(
th:each
)
- 条件分岐(
- その他
- ユーテリティオブジェクト(
#lists
など) - コメント(
<!--/* */-->
)
- ユーテリティオブジェクト(
サンプルコードはGitHubに公開しています。
GitHub - MasatoshiTada/beginning-thymeleaf
環境準備
プロジェクトの作成
MavenまたはGradleを使います。(下記はMavenの例です)
<dependencies> ... <dependency> <groupId>org.thymeleaf</groupId> <artifactId>thymeleaf</artifactId> <version>3.0.2.RELEASE</version> <scope>compile</scope> </dependency> ... </dependencies>
TemplateResolver
とTemplateEngine
の生成
今回は、サーブレットが1つ、Thymeleafのテンプレートが1つだけのシンプルなプログラムです。
Thymeleafの中心的なクラスが、TemplateResolver
とTemplateEngine
です。
TemplateResolver
クラスは、指定された論理的なビュー名(例:"hello"
)から、物理的なビュー名(例:"/WEB-INF/views/hello.html"
)を解決する役割を担います。
TemplateEngine
クラスは、作成されたテンプレートを元に、実際にレスポンスするHTMLを出力する役割を担います。
まずは、上記2つのインスタンスを生成しておく必要があります。これらのインスタンスは1つずつ生成して、以降の処理では使い回せばOKです。
今回は、サーブレットクラスの初期化処理の中で生成します。
@WebServlet("/hello") public class HelloServlet extends HttpServlet { // Thymeleafの出力を書き出すクラス private TemplateEngine templateEngine; /** * サーブレットの初期化処理。 * TemplateResolverおよびTemplateEngineを生成する。 */ @Override public void init(ServletConfig config) throws ServletException { super.init(config); // TemplateResolverの生成 ServletContext servletContext = config.getServletContext(); ServletContextTemplateResolver templateResolver = new ServletContextTemplateResolver(servletContext); templateResolver.setPrefix("/WEB-INF/views/"); // ビューの保存フォルダ templateResolver.setSuffix(".html"); // ビューの拡張子 templateResolver.setTemplateMode(TemplateMode.HTML); // TemplateEngineの生成 templateEngine = new TemplateEngine(); templateEngine.setTemplateResolver(templateResolver); } // その他のメソッド省略 }
今回はサーブレットが1つなので、サーブレットの初期化処理で書きましたが、本来のアプリケーション開発であれば、何らかの方法でシングルトンにしておくと良いでしょう。
SpringだったらBean定義すればいいですし*1、 Java EEならば@ApplicationScoped
なプロデューサーメソッドとして作ってもいいでしょう。(詳細は最後の参考資料をご覧ください)
4つの記法
さて、ここから具体的なThymeleafによるテンプレート記述に入ります。
Thymeleafには、大きく分けて4つの記法があります。
リンク式(@{...}
)
HTMLとかJSPを書いていてけっこう面倒なのが、リンク/CSS/JS/画像などの「パスの記述」ではないでしょうか。
絶対パスで指定するためにコンテキストパスを毎回書いたり、相対パスで書くとプロジェクトのフォルダ構造と、サーバー上で実行される時のパスが違っていて、うまくパスを指定するのが難しかったりします。
こういった問題の対策として、Thymeleafにはリンク式という記法があります。
- テンプレート
<link rel="stylesheet" href="../../css/style.css" th:href="@{/css/style.css}">
th:href
属性の@{...}
の部分がリンク式です。/
で始めると、レスポンスされるHTMLには、なんとコンテキストパスが補完されます!
href
属性は、サーバーを通さずに直接ブラウザでHTMLを開いたときに利用されます。そして、サーバー上で実行したときには、href
属性の値はth:href
属性の値で上書きされます。
Thymeleafには、th:xxx
という形式の属性がいっぱいあるのですが、基本的にはxxx
という属性の値を上書きするものです。
- レスポンスされるHTML
<link rel="stylesheet" href="/beginning-thymeleaf/css/style.css">
なぜ、上書きされて消えてしまうhref
属性を書くのかというと、直接ブラウザでHTMLを開いてもCSSが適用されるようにするためです。
こうすると、テンプレートをそのままブラウザで開いて、お客様に見せて打ち合わせなどができます。
本番用のソースコードがそのまま画面モックになるのが、Thymeleaf最大の特徴です。
メッセージ式(#{...}
)
Thymeleafでは、画面上のメッセージをプロパティファイルなどに記述し、国際化ができます。
やり方は簡単で、テンプレートの.htmlファイルと同じフォルダに、「テンプレート名.properties」というファイルを作るだけです。
例えば、hello.htmlに対するプロパティファイルは「hello.properties」「hello_ja.properties」などです。
言語は、クライアントからのAccept-Language
HTTPリクエストヘッダで指定します。
指定された言語に対応したプロパティファイルがなかった場合は、ロケールなしの「hello.properties」が使われます。
- hello.properties
backToTop=Back to top nothingToShow=No users to show.
- hello_ja.properties
backToTop=トップページに戻る nothingToShow=表示するユーザーがありません。
- hello.html(テンプレート)
<p th:text="#{nothingToShow}">表示するユーザーがありません。</p> <a href="../../index.html" th:href="@{/}" th:text="#{backToTop}">トップページに戻る</a>
#{...}
の部分がメッセージ式です。「nothingToShow」や「backToTop」は、プロパティファイルのキーを指定しています。
th:text
属性は、画面にメッセージを表示するために使われる属性です。
サーバーで実行した時は、th:text
属性を指定したタグに挟まれた部分が置き換えられます。
テンプレートに記述している「表示するユーザーがありません。」などのメッセージは、ブラウザで直接開いたときのための仮のメッセージで、サーバーで実行時はプロパティファイルのメッセージで上書きされます。
変数式(${...}
)
サーブレット側で、テンプレートに値を渡す処理は、こんな感じで書きます。
List<User> userList = ...; // ビューに渡す値を保存するマップ HashMap<String, Object> map = new HashMap<>(); map.put("userList", userList); // レスポンスするHTMLを書き出す WebContext webContext = new WebContext(request, response, getServletContext(), request.getLocale()); webContext.setVariables(map); // 値をビューに渡す Writer writer = new OutputStreamWriter( response.getOutputStream(), StandardCharsets.UTF_8); templateEngine.process("hello", webContext, writer); // /WEB-INF/views/hello.htmlを書き出す
少し面倒なコードに見えますが、このあたりはフレームワーク化すれば、毎回書く必要は無くなります。
この値をテンプレートで表示するには、変数式を使います。
- テンプレート
<tr th:each="user : ${userList}"> <td th:text="${user.id}">111</td> <td th:text="${user.name}">Yumi Wakatsuki</td> </tr>
(th:each
は繰り返しを記述するもので、後述します)
${...}
の部分が変数式です。ほぼJSPのELと同じですね。
ここもth:text
を使っているので、タグで挟まれた部分(「111」など)は、サーバー上で実行されたときには置き換えられます。
- レスポンスされるHTML
<tr> <td>1</td> <td>User1</td> </tr> <tr> <td>2</td> <td>User2</td> </tr> <tr> <td>3</td> <td>User3</td> </tr>
選択変数式(*{...}
)
先ほどのユーザーの表示の部分ですが、user
というのをIDと名前で2回書いています。
これを簡略化できるのが、選択変数式です。
- テンプレート
<tr th:each="user : ${userList}" th:object="${user}"> <td th:text="*{id}">111</td> <td th:text="*{name}">Yumi Wakatsuki</td> </tr>
上記の例だと、<tr>
開始タグにth:object=${user}
と書いています。
こうすると、<tr>
で挟んでいる部分では、${user.id}
ではなく*{id}
と書くことができます。これが選択変数式です。
レスポンスされるHTMLは、変数式の場合とまったく同じになります。
- レスポンスされるHTML
<tr> <td>1</td> <td>User1</td> </tr> <tr> <td>2</td> <td>User2</td> </tr> <tr> <td>3</td> <td>User3</td> </tr>
テンプレートの記述
テンプレートでは欠かせない、条件分岐・繰り返しについて説明します。
条件分岐(th:if
、th:unless
)
JSPで言うところの<c:if>
に相当します。
<c:choose>
に相当するものはありません。つまり、ifに対するelseみたいな記述はできません。
- テンプレート
<table border="1" th:unless="${#lists.isEmpty(userList)}"> ... </table> <p th:if="${#lists.isEmpty(userList)}">表示するユーザーがありません。</p>
#lists
の部分はユーティリティオブジェクトというもの(後述)なのですが、ざっくり言うと、userList
が空でなかったら<table>
要素の部分のみが、空だったら<p>
要素の部分のみが出力されます。
th:unless
は変数式で指定した条件がfalse
の時に出力され、th:if
は変数式で指定した条件がtrue
の時に出力されます。
- レスポンスされるHTML(userListが空でない場合)
<table border="1"> ... </table>
- レスポンスされるHTML(userListが空の場合)
<p>表示するユーザーがありません。</p>
条件を指定するには、普通のJavaのように==
、!=
などを使うことができます。
不等号については、<
や>
ではなく、lt
(<
相当)、gt
(>
相当)、le
(<=
相当)、ge
(>=
相当)、を使います。
and
やor
で、複数の条件を指定することも可能です。
実は、true/falseだけでなく、下記のものはfalseと判断されます。逆に言うと、falseと下記以外は全てtrueと判断されます。
- null
- 0
- "0"
- “false”
- “off”
- “no”
これは、検索結果などを表示する時に非常に便利です。null比較をしなくて済みますね!
- テンプレートの例(このコードはGitHubにはありません)
<!--/* th:if="${user != null}" と同じ */--> <table border="1" th:if="${user}"> <tr> <td th:text="*{id}">111</td> <td th:text="*{name}">Yumi Wakatsuki</td> </tr> </table>
繰り返し(th:each
)
前にも少し出てきましたが、繰り返しはth:each
で表します。
下記の場合だと、th:each
属性を記述している<tr>
要素自体が繰り返し出力されます。
構文はth:each="コレクションから取り出した要素の変数名 : ${コレクションの変数名}">
です。
- テンプレート
<tr th:each="user : ${userList}" th:object="${user}"> <td th:text="*{id}">111</td> <td th:text="*{name}">Yumi Wakatsuki</td> </tr>
- レスポンスされるHTML
<tr> <td>1</td> <td>User1</td> </tr> <tr> <td>2</td> <td>User2</td> </tr> <tr> <td>3</td> <td>User3</td> </tr>
僕もたまにやってしまうのですが、<c:forEach>
の感覚で使っていると、こんな書き方をしちゃいます。
- テンプレート
<table th:each="user : ${userList}"> <tr th:object="${user}"> <td th:text="*{id}">111</td> <td th:text="*{name}">Yumi Wakatsuki</td> </tr> </table>
こう書いてしまうと、<table>
要素自体が繰り返されるので注意してください。th:each
は、あくまで繰り返したい要素自身に付加します。
その他の記法
ユーテリティオブジェクト(#lists
など)
変数式などの中で、ユーティリティオブジェクトを呼ばれるものを使うことができます。
ユーテリティオブジェクトは、変数式などの中で#オブジェクト名.メソッド名(引数)
で利用します。
Thymeleafには、あらかじめいくつかのユーティティオブジェクトが定義されています。
#lists
はその1つで、リストに関するメソッドをいくつか持っています。
#lists.isEmpty()
メソッドは、引数で渡されたリストが、nullまたは要素数ゼロの場合にtrueを返します。
下記の場合は、th:unless
と組み合わせて、userListが「nullまたは要素数ゼロ」でない場合に<table>
要素を出力しています。
- テンプレート
<table border="1" th:unless="${#lists.isEmpty(userList)}"> ... </table>
- レスポンスされるHTML
<table border="1"> ... </table>
他にも色々なメソッドやユーティティオブジェクトがあるので、詳細は公式ドキュメントの下記のページを確認してみてください。
ちなみに、ユーティティオブジェクトは自作も可能です。
多分、SpringでThymeleafを使っていると、#fields
というユーティティオブジェクトが見つかると思います。
これは素のThymeleafのものではなく、thymeleaf-spring4*2というライブラリ側が提供しているユーティティオブジェクトです。
コメント(<!--/* */-->
)
普通のHTMLコメント(<!-- -->
)とすると、レスポンスされるHTMLにこのコメントが含まれてしまいます。
レスポンスされるHTMLに含めたくないコメントは、<!--/* */-->
で書きます。
Thymeleafは、<!--/*
から*/-->
までをコメントとして認識し、テンプレートを解釈する時にこれらで挟まれた部分を無視します。
これを応用すると、こんなことが可能です。
<tr th:each="user : ${userList}" th:object="${user}"> <td th:text="*{id}">111</td> <td th:text="*{name}">Yumi Wakatsuki</td> </tr> <!--/*--> <tr> <td>222</td> <td>Reika Sakurai</td> </tr> <tr> <td>333</td> <td>Erika Ikuta</td> </tr> <!--*/-->
th:each
で繰り返しを書く時、ブラウザで直接開いた時も、複数件のデータが見えるようにします。
上記で言うと、222番や333番の人は、ブラウザで直接開いたときは見えるのですが、サーバー上で実行したときは、<!--/*
と*/-->
で挟まれているので、この部分は無視されます。
さらに勉強するための参考資料
以上、最低限必要な機能を紹介していきました。
Thymeleafに興味を持って、さらに勉強されたい方は、下記の資料を読んでみましょう。
まずは、@bufferingsさんの資料を読んで、一通りの機能を把握しましょう。
Welcome Thymeleaf 3.0! #jjug_ccc #ccc_f2 // Speaker Deck
合わせて、公式ドキュメントも確認しておきましょう。
@bufferingsさんが翻訳された日本語版もあります。Thymeleaf 2.xの頃のドキュメントですが、あまり大きくは変わっていません。
Tutorial: Using Thymeleaf (ja)
SpringでThymeleafを使うという人は、「Spring徹底入門」を読みましょう。
Spring徹底入門 Spring FrameworkによるJavaアプリケーション開発(株式会社NTTデータ) | 翔泳社の本
Java EEで Thymeleafを使うという人は、僕のスライドを読んでみてください。
Java EEアクションベースMVC入門 #jjug_ccc #ccc_cd4 // Speaker Deck
それでは、Enjoy Thymeleaf!!
*1:正確には、Thymeleaf-Spring4というライブラリが提供しているクラスをBean定義します。詳しくはhttps://github.com/MasatoshiTada/spring4-thymeleaf/blob/master/src/main/java/com/example/web/WebMvcConfig.java
*2:ちなみに、thymeleaf-spring4はThymeleaf作者が自ら開発されています
Bean Validationでクライアント側のロケールに合わせたメッセージを出力する
やりたいこと
通常のBean Validationでは、クライアント側ではなく、サーバー側のロケールのエラーメッセージになってしまいます。
なので、クライアント側のロケールに合わせて
$ curl -v -H "Accept: text/html" -H "Accept-Language: ja" http://localhost:8080/jjug-my-mvc-1.0-SNAPSHOT/api/employee/result?id=a
としたらValidationMessages_ja.propertiesのエラーメッセージになり、
$ curl -v -H "Accept: text/html" -H "Accept-Language: en" http://localhost:8080/jjug-my-mvc-1.0-SNAPSHOT/api/employee/result?id=a
としたらValidationMessages_en.propertiesのエラーメッセージになり、
$ curl -v -H "Accept: text/html" -H "Accept-Language: cs" http://localhost:8080/jjug-my-mvc-1.0-SNAPSHOT/api/employee/result?id=a
としたらValidationMessages.propertiesのエラーメッセージになるようにします。
独自ResourceBundleLocator
の作成
Bean Validation参照実装のHibernate Validator独自インタフェースです。
ResourceBundleLocator
は、Local
が引数で戻り値がResourceBundle
なメソッドを持っているので、この中でゴニョゴニョします。
package com.example.rest.validation; import org.hibernate.validator.spi.resourceloading.ResourceBundleLocator; import java.util.Locale; import java.util.ResourceBundle; class NoFallbackControlResourceBundleLocator implements ResourceBundleLocator { @Override public ResourceBundle getResourceBundle(Locale locale) { ResourceBundle.Control control = ResourceBundle.Control.getNoFallbackControl( ResourceBundle.Control.FORMAT_DEFAULT); ResourceBundle bundle = ResourceBundle.getBundle("ValidationMessages", locale, control); return bundle; } }
ResourceBundle
は、指定されたロケールに合致したプロパティファイルが無い場合、デフォルトロケール(僕の環境だとja_JP)のプロパティファイルを選びます。
これは今回のやりたいことに合致しないので、「フォールバック制御」を行っています。
getNoFallbackControl()
メソッドによって、ロケールに合致したプロパティファイルが無い場合、ロケール無しのプロパティファイルが選ばれるようになります。
参考資料
櫻庭さんの記事です。上記の内容は、この記事を読んで初めて知りました・・・。
Java技術最前線 - 「Java SE 6完全攻略」第54回 ResourceBundleの新機能 その2:ITpro
独自MessageInterpolator
の作成
MessageInterpolator
自体は、Bean Validationで定義されているインタフェースです。
今回は、Hibernate Validatorが持っているMessageInterpolator
実装クラスを継承して、メソッドをオーバーライドします。
package com.example.rest.validation; import org.hibernate.validator.messageinterpolation.ResourceBundleMessageInterpolator; import java.util.Locale; class LocalizedMessageInterpolator extends ResourceBundleMessageInterpolator { private final Locale locale; LocalizedMessageInterpolator(Locale locale) { super(new NoFallbackControlResourceBundleLocator()); this.locale = locale; } @Override public String interpolate(String messageTemplate, Context context) { return super.interpolate(messageTemplate, context, this.locale); } @Override public String interpolate(String messageTemplate, Context context, Locale locale) { return super.interpolate(messageTemplate, context, locale); } }
コンストラクタでロケールを受け取り、1つ目のinterpolate()
メソッド内で利用します。
2つ目のinterpolate()
メソッドはどんな時に呼ばれるのかは、まだ不明です... (^^;
参考資料
Hibernate Validatorのドキュメント
Chapter 4. Interpolating constraint error messages
ローカライズしたValidator
の作成
package com.example.rest.validation; import javax.enterprise.context.ApplicationScoped; import javax.enterprise.inject.spi.CDI; import javax.servlet.http.HttpServletRequest; import javax.validation.ConstraintViolation; import javax.validation.Validation; import javax.validation.Validator; import java.util.Locale; import java.util.Set; import java.util.concurrent.ConcurrentHashMap; import java.util.concurrent.ConcurrentMap; @ApplicationScoped public class LocalizedValidator { private ConcurrentMap<Locale, Validator> validatorCache = new ConcurrentHashMap<>(); public <T> Set<ConstraintViolation<T>> validate(T object, Class<?>... groups) { HttpServletRequest httpServletRequest = CDI.current().select(HttpServletRequest.class).get(); Locale locale = httpServletRequest.getLocale(); Validator validator = validatorCache.computeIfAbsent(locale, (keyLocale) -> Validation.byDefaultProvider() .configure() .messageInterpolator(new LocalizedMessageInterpolator(keyLocale)) .buildValidatorFactory() .getValidator() ); return validator.validate(object, groups); } }
HttpServletRequest
からクライアント側のロケールを取得し、LocalizedMessageInterpolator
に渡します。
Validator
の生成を毎回行なうのは効率的でないので、キャッシュしました。
ValidatorFactory
およびValidator
はスレッドセーフとJavadocに書いてありますので、キャッシュして使い回しても大丈夫なはず・・・です。
僕はあまりスレッドセーフ関連は詳しくないので、ご自分でも十分に調査の上、利用してください。
参考資料
槙さんのスライド
コントローラークラスの作成
@Path("employee") @RequestScoped @Produces(MediaType.TEXT_HTML) public class EmployeeController { @Inject private LocalizedValidator validator; @GET @Path("result") public ThymeleafViewable result(@BeanParam EmployeeIdForm form) throws Exception { // バリデーション実行 Set<ConstraintViolation<EmployeeIdForm>> violations = validator.validate(form); // エラーがあれば入力画面に戻る if (!violations.isEmpty()) { HashMap<String, Object> models = new HashMap<>(); models.put("violations", violations); return new ThymeleafViewable("employee/index.html", models); }
先ほど作成したLocalizedValidator
をDIし、コントローラーメソッド内でバリデーションを実行します。
プロパティファイルの作成
日本語用 src/main/resources/ValidationMessages_ja.properties
employee.id.notblank=社員IDは必須入力です。 employee.id.pattern=社員IDは整数で入力してください。
英語用 src/main/resources/ValidationMessages_en.properties
employee.id.notblank=Employee ID must not be blank. employee.id.pattern=Employee ID must be integer.
それ以外用(英語のメッセージの先頭に「(Def)」をつけています) src/main/resources/ValidationMessages.properties
employee.id.notblank=(Def)Employee ID must not be blank. employee.id.pattern=(Def)Employee ID must be integer.
実行
$ curl -v -H "Accept: text/html" -H "Accept-Language: ja" http://localhost:8080/jjug-my-mvc-1.0-SNAPSHOT/api/employee/result?id=a * Trying 127.0.0.1... * Connected to localhost (127.0.0.1) port 8080 (#0) > GET /jjug-my-mvc-1.0-SNAPSHOT/api/employee/result?id=a HTTP/1.1 > Host: localhost:8080 > User-Agent: curl/7.43.0 > Accept: text/html > Accept-Language: ja > < HTTP/1.1 200 OK < Server: Payara Micro #badassfish < Set-Cookie: JSESSIONID=43dfaf692f43c4bcdd999837d7c9; Path=/jjug-my-mvc-1.0-SNAPSHOT; HttpOnly < Content-Type: text/html < Date: Thu, 09 Jun 2016 08:18:45 GMT < Content-Length: 644 < <!DOCTYPE html> <html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml"> (中略) <ul class="error"> <li>社員IDは整数で入力してください。</li> </ul> (中略) * Connection #0 to host localhost left intact
$ curl -v -H "Accept: text/html" -H "Accept-Language: en" http://localhost:8080/jjug-my-mvc-1.0-SNAPSHOT/api/employee/result?id=a * Trying 127.0.0.1... * Connected to localhost (127.0.0.1) port 8080 (#0) > GET /jjug-my-mvc-1.0-SNAPSHOT/api/employee/result?id=a HTTP/1.1 > Host: localhost:8080 > User-Agent: curl/7.43.0 > Accept: text/html > Accept-Language: en > < HTTP/1.1 200 OK < Server: Payara Micro #badassfish < Set-Cookie: JSESSIONID=43e9b73c50fe3be35f60bd734842; Path=/jjug-my-mvc-1.0-SNAPSHOT; HttpOnly < Content-Type: text/html < Date: Thu, 09 Jun 2016 08:19:26 GMT < Content-Length: 616 < <!DOCTYPE html> <html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml"> (中略) <ul class="error"> <li>Employee ID must be integer.</li> </ul> (中略) * Connection #0 to host localhost left intact
$ curl -v -H "Accept: text/html" -H "Accept-Language: cs" http://localhost:8080/jjug-my-mvc-1.0-SNAPSHOT/api/employee/result?id=a * Trying 127.0.0.1... * Connected to localhost (127.0.0.1) port 8080 (#0) > GET /jjug-my-mvc-1.0-SNAPSHOT/api/employee/result?id=a HTTP/1.1 > Host: localhost:8080 > User-Agent: curl/7.43.0 > Accept: text/html > Accept-Language: cs > < HTTP/1.1 200 OK < Server: Payara Micro #badassfish < Set-Cookie: JSESSIONID=43efe0e6f24b7d015771568feb84; Path=/jjug-my-mvc-1.0-SNAPSHOT; HttpOnly < Content-Type: text/html < Date: Thu, 09 Jun 2016 08:19:51 GMT < Content-Length: 640 < <!DOCTYPE html> <html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml"> (中略) <ul class="error"> <li>(Def)Employee ID must be integer.</li> </ul> (中略) * Connection #0 to host localhost left intact
今回のコード
https://github.com/MasatoshiTada/jjug-action-based-mvc/tree/master/jjug-validation
https://github.com/MasatoshiTada/jjug-action-based-mvc/tree/master/jjug-my-mvc
【書評】Spring Microservices(洋書)
Spring Cloudの勉強をするために買いました。
内容としては、
- Spring Bootの基礎
- Microservicesとは何ぞや?その背景は?
- Circuit BreakerやService Discoveryって何ぞや?なぜ必要なのか?
- Spring Cloudの基礎
- Docker、Mesos
など、かなり幅広いです(ページ数もそこそこ多い)。
背景やなぜ必要なのか、というところはすごく参考になりました。 また、Spring Cloudでアプリケーションを作るところは、そこそこ多いマイクロサービス(最終的には10個くらいになる)を手順を追いながら作っていくので、手を動かして学びたい人にはうってつけな本です。
総じて良い本だと思いますが、注意点があります。
1つ1つの手順があまり詳しく書いておらず、「え?このソースコード、どのマイクロサービスの!?」と思うことがとても多いです。また、誤植も散見され、そのままだと動かんやろ、という部分もいくつかありました。
正直言って、Spring BootやSpring Cloudが全く初めてという方には向きません。ある程度は学習したことがある方が、より理解を深めるための本だと思います。